「R25」のつくりかたに学ぶペルソナ行動の調査




「ペルソナ設定の重要性を成功事例から学ぶ」

 

 「R25」というメディア、雑誌をご存知でしょうか。
リクルートが発行していたM1層(25歳〜34歳の男性)をターゲットしたビジネス、経済、社会に関する情報を提供するというフリーペーパーです。(2015年9月を以て、フリーペーパーの発行は終了し、現在はWeb版のみの運営)
WEBサイトはこちら:https://r25.jp/

よく駅の改札の近くでフリーペーパーが積まれたのラックが置いてある光景を知っている方も、少なくないのではないしょうか。

 

活字を読まない若い世代をターゲットしたフリーマガジンが当初のコンセプトでした。発刊数の目標としては100万部。当時売れている雑誌で数万部程度なのに対し、10万部を超える雑誌のほうが珍しいということでした。一見無茶苦茶に見える目標。その成功に至るまでの形を、【「R25」のつくりかた】という書籍ではリアリティあふれるストーリーで著者が語ります。

 

読み進める中でハッキリと明らかになっていったのが、ペルソナの設計の綿密さです。もちろんコンテンツを企画する部分も書かれていますが、何よりもペルソナの行動を綿密に解析し、仮説を立てて、コンテンツを改善し続けたのが成功に繋がったのではないかというところが肌で感じ取れます。マーケティングに関わる全ての人に読んでもらいたいと思い、ここではその書籍の一部を紹介します。

 

活字を読まないM1層を解明すること

 

まず最初に行ったのが、ネットでモニターアンケートを取るということでした。サンプル数1万人に対し、テレビの視聴時間帯、毎日のネットの平均利用時間、新聞を見る頻度などを聞いていったといいます。新聞を見ていると答えたのは5割。しかし、著者は「人をそんなに一律に測れるのか、そして本当の気持ちは何なのだろうか」と疑問を持ったそうです。
そこから知人、友人経由と調査会社にお願いしてグループインタビューも実施し、200人を超えるM1層に直接会うことになります。そこでは、これまで言われていた定説と違うという事実が浮かび上がってきたと書いています。

 

ウソを付かずに済む質問を考える

 

ペルソナユーザーの実態から見えてきたものは、皆「日経新聞を読んでいます。」インタビューで答えたそうです。そして、社会人なら当たり前のように新聞を読み、仕事に活かしているという雰囲気を醸し出すことがステイタスとなる、そのための背伸びとして回答に出ているのではないかと考えます。

 

著者は「背伸びをさせない聞き方」が必要だなと考えて、朝起きてからの行動を順番に聞いていったのです。

 

「朝は何をしているんですか?」

「めざましテレビを見ていることが多いです。」

「じっと座って見ているんですか。」

「いや、忙しいのでじっとは座ってないですね。」

「すると、起きてから何分くらいで家を出ますか?」

「10〜15分ですよ。」

 

笑顔を絶やさず、フレンドリーに質問していきました。

そして会社に着いてからのこと、夜に家に帰ってネットサーフィンをする時間までを聞いていきます。

 

「ところで皆さんは新聞を読んでいるとおっしゃっていましたが、1回も出てこなかったんですけど、いつ読んでいるんですか?」

「いや、朝の始業前に・・・」

「社会人として新聞くらい読んでいないとまずい、というのは認識されているじゃないですか。でもぶっちゃけ読めないじゃないですか、実は自分だってあんまり読んでいないんですよね。朝、時間も無いし。」

「実は・・・読んでいいないんです。」

 

そこからようやく彼らの本心、本当の話が聞けるようになったというのです。

新聞を読みたい、読んでいるとまわりには思われたいと思って頑張っているけど、かなり難しいし、どこから読んでいいかわからない。しかも使われている言葉が自分たちよりも年上向けになっている気がする。自分たち向けじゃないから、何かピンとこない。

 

そこから、ペルソナに対して「自分たちに向けてくれている書き方」で新聞を読み解くための基礎情報を提供すれば良いのではないかと仮説を立てて、R25はコンテンツを組み立てていきます。当初はレジャーやエンタメの情報を充実させれば良い、と考えていたらしいのですが、ユーザーの生の声を聞いてコンテンツのテーマを方向転換します。

 

ペルソナの生活から情報の接点を考える


フリーマガジンをペルソナにどこで読んでもらうか、これもかなり考えたといいます。自分の家で読んでもらうのか、あるいは会社で読んでもらうのか、通勤時間なのか。それをインタビューの中で朝起きてから、寝るまで何をしていたか、フリーマガジンを読む時間があるのかどうなのかを細かく聞いていったそうです。

 

そして読んでもらう場所は帰りの電車の中と決めたところで、なのでより一層読みやすさを重視しなければならない。首都圏の電車で駅一つ分を移動する2分くらいで読める分量のコラムというコンセプトで一記事あたり約800字のテキスト量を決めたそうです。

 

情報誌の置き場所の設計


ペルソナの通勤経路、帰り道に当たる範囲を「M1のケモノ道」と名付けて、都心のターミナル駅を中心に、その導線上にある、コンビニ、書店、飲食店や、クリーニング屋などを徹底的に開拓したといいます。


リアルでもWebの世界でもどこでユーザーとの「接点」を持つかというのが重要だと感じられる部分です。ペルソナの行動を分析し、その人の生活の延長線上で手に取れる(情報にアクセスできる)場所を設計することが語られています。

 

また、まずテストマーケティングということでテスト創刊を発行し、ユーザーアンケートを付録として付けていたそうです。反響はかなり好調。「こういう情報誌を待っていました」「本当に頭の中をのぞかれているような気がした情報誌でした。」そういう反応が返ってきたと書いてあります。そんなことを言われたら嬉しいどころかの話ではないですよね。
 

ユーザーに向き合いながらコンテンツを設計するとはまさにこのことなのだ、と私も本を読みながら実感しました。

 

まとめ

 

【「R25」のつくりかた】にはここで紹介した以外にも、新規事業を作る上での市場調査から、チームでのアイディアの出し方、メディアを創り上げていくことといった幅広いエッセンスが詰まっている本でした。マーケティングに関わる人、新規事業に関わる人にはぜひ一読頂きたいです。
 


丸山 智大

丸山 智大

Webマーケティング事業部 ferret Oneトレーナー ferret One立ち上げ時期からサービス構築に関わっています。 週末はコーヒー時々執筆活動。コーヒー関連のサイトも運営しています。 http://cafekanata.com/

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